はじめに

今回は、楽器経験ほぼゼロだったアラサーの音楽好きが、ピアノを始めて一年と半年経った話を記していきます。

自分は長らく“聴き専”の音楽好きで自らが楽器を演奏することとは無縁の人生を歩んできたのですが、思うところがあって2024年の5月(31歳の頃)から独学でピアノを始めました。始めた理由や使用した教材、実際に練習してみて、今後の目標などを個人的な振り返りとして書きました。単なる自分語りとはいえ、何かしらご参考になるところがあれば幸いです(^^)ゞ

なぜ楽器を始めたのか

人が新たに楽器を始める動機というのはそれぞれあると思います。「自分の好きな曲を弾いてみたい」辺りがおそらくメジャーでしょうが、自分の場合は一言で言うなら「音楽に対する理解度を深めたい」からというのが大きい動機になります。

自分は中学生の頃に音楽にハマって以来、少なくない数のアルバムを聴いて来ました。それから約20年経ち、さすがに聴き始めた当初よりは多少なりとも(好みじゃない言い回しですが)“耳が肥えた”部分はあります。しかしながら、色々な方の音楽評論やレビューを読んでいて、自分の音楽に対する理解度の低さを痛感させられることは多々ありました。とりわけ、ミュージシャンや楽器をある程度弾ける人の書いた文章には唸らされるものがあります。やはり楽器が弾けないと演奏の細かいニュアンスの違いを認識するのは難しいですし、音楽理論が分からないとコード進行のことはサッパリ分かりません。

自分も一応こんな音楽ブログをやっている訳ですが、心の中で「簡単な音楽理論すら分かってない奴がエラソーにほざいててすみません……」というコンプレックスは自分の中でくすぶっていました。ただ、そんな思いを抱えつつも、音楽理論の勉強はそもそも楽器を弾けないと厳しいし、そんなに楽器を弾きたい欲求も無いし、ということでそのコンプレックスからは目をそらして来た自覚もあります。(なお、大学生の頃になんとなくエレキギターを始めたものの演奏することに対するモチベーションが保てず、また、色々な音楽を聴きたい欲求のほうが遥かに強かったため、ロクに練習をしないまま辞めてしまった経験アリ。)

ただ、自分も30歳を過ぎ、今後自分が音楽とどう向き合っていくのかを見つめ直してみると、このままコンプレックスを抱えたまま聴き続けてもつまらないし何も広がりが無いだろうな、という思いが強くなってきました。自分は新譜やライブ、音楽シーンの動向に対する関心が(音楽好きを自称する人の中では)ものすごく低いほうだし、このまま聴いてるだけでは新鮮味も無くなってくるでしょう。

音楽鑑賞という受動的な趣味を長年続けて来た自分ですが、楽器を練習したり音楽理論の勉強をすることで、音楽の新たな側面が見えてくるのではないかと……。それにシンプルに考えて、「音楽が好きで楽器が弾けない人」よりも「音楽が好きで楽器が弾ける人」になりたいし。そんなことを思いつつ、地道に楽器を練習してみようと決意した次第です。

それから、「音楽に対する理解度を深めたい」以外のもう一つの目標として「他の人と演奏する」ということを設定しました。合奏するというのはどういうものなのだろうかと。人と交流するのは好きだし、なんらかの演奏会とかアマチュアバンドに参加出来たら良いなあと。これについては後ほど触れます。

【なぜピアノにしたのか】

そうして楽器を弾き始めることを決意したわけですが、色んな楽器がある中でピアノ(正確には電子ピアノ)を選びました。

まず、練習のしやすさという点でピアノは優秀でした。ピアノは弦を張り替えたりチューニングしたりする手間も無い。ヘッドホンをつければ騒音問題も無い。さらに教則本やYoutube動画、アプリも充実。

また、音楽への理解度を深めることに繋がるかというという観点でもピアノは最適。音楽理論の本は基本的に鍵盤を用いて説明されている(らしい)ので、ピアノの知識は大きな助けになるはずです。

自分はクラシックやジャズをほとんど聴かないもののロック/ポップ系のジャンルでは鍵盤楽器の入った音楽を好みますし、練習していくうちに好きになっていくだろうと考えました。そういった複数の理由が決め手となり、“楽器の王様”ことピアノを始めることにしました。

ただ、ピアノを始めるにあたって一つネックな点が。それは「ピアノは大人になってから始めても上達しない」という噂。ピアノに必要な両手をバラバラに動かす能力や音感、リズム感は子どもの頃に練習していないと身につかない……といった旨のことがいくつかの記事で書かれていました。

こういう話を耳にすると当然自分のモチベーションは下がります。ただ、そんな「やらない理由」を探していてもキリが無いし、あらゆる楽器が子どもの頃から始めたほうが上達するのは当たり前だし、そもそも自分は別にプロを目指すワケじゃ無い。自分に出来る範囲で無理せず頑張っていこうと決意しました。

ちなみに、他の楽器について。ドラムは大好きな楽器でしたが、いくら上達してもリズム面以外の音楽理論の勉強に繋がらない(はず)なのと、マンション住まいだと練習が非常に難しいので今回は断念。それ以外の楽器、ギターやサックスはピアノと比較して(今の自分の目的と照らし合わせて)優位な点が見当たらなかったので見送りました。

【練習に使用した教材】

そんなわけでピアノを始めることに。家族が昔購入していたCASIOの電子ピアノがあったので、それを押し入れから引っ張り出して練習を始めました。この時点で初期費用がゼロなのは非常にありがたかったです。

ピアノを始めるにあたって最初に考えたのは、教室に通うか独学か、という点でした。これはあまり悩まずに独学を選択しました。最初の時点では自分の練習熱がきちんと続くかどうか自信が無かったし、金銭的な問題もあるし、通うにしてもある程度弾けるようになったほうが吸収が早いだろうなと思い、独学でやっていくことにしました。ただ、指使いや弾く際の姿勢など、教室で基礎をしっかり学んだほうが変な癖がつかなくて良いというプロの意見もあるので、余裕がある人は教室に通うべきだと思います。

最初に購入したのは丹内真弓著『ピアノの教科書』という本。他の初心者向け教則本と比較してどうこうは言えませんが、自分には役に立つ内容でした。

次に、教則本ではなく「ピアノマーベル」という練習用のアプリを利用し始めました。そもそも楽譜をロクに読めない初心者の場合、「自分が今押している鍵盤は果たして正しいのか?」という疑問が浮かんできます。その点このアプリは、ピアノをPCに繋いで自分がどの鍵盤を押しているのかが分かるので、鍵盤の押し間違えが無いように練習するのに非常に助かりました。ピアノマーベルのその他の機能については各自お調べください。

また、ピアノ講師の方がYouTubeに上げられている初心者向け動画や運師練習の動画も参考にさせてもらっています。また、そういった動画で「定年後の趣味として新たにピアノを始めました。」といった旨のコメントを見かけたりすると、自分もまだ若いんだから頑張らねば、とモチベーションアップに繋がりますね。身の丈に合った目標設定や自分なりの努力さえすれば、何事にもチャレンジするのは遅くない……はずです。

【実際に練習してみて】

さて、自分がピアノの練習を始めてみて、自分が思っていたよりは両手が動くな、というのが第一印象でした。左手でコードを押さえて右手で旋律を弾くという行為が、手先が不器用な自分なりには出来るぞ、と。あくまで“自分が思っていたより”なので世間のピアノ弾きの皆様と比べればからっきし下手なんですけども。小学生の頃に音楽の授業でピアニカを弾いていたり、パソコンでブラインドタッチをしていた経験が多少なりとも生かせているのかも?とは思いました。

その一方で、自分が一番困ったのはシンプルに「疲れる」という点。楽譜を見ながら両手を動かすというのは自分にとって初めてする行為なので、自分が予想していたよりも脳が疲れてしまう。なので、休みの日であっても何時間も練習する気力が無く、上達するペースも遅れてしまっているのが現実……。とはいえ、無理せず続けることが大事だと思い、最低でも週5日、1日10分でも良いから少しでも鍵盤に触れるようにしています。

あと、もうひとつ感じているのは……、「楽しくない」ってことです(苦笑)。初心者なので、まだ演奏していて楽しいとか気晴らしになるとかそういう段階ではありません。もっと楽譜がスラスラ読めて指も軽やかに動かせるようになれば演奏が楽しくなるのかもしれませんが。とはいえ、最初は難しくて弾けなかったフレーズもだんだん早く弾けるようになっていったり、そうした小さな成長を実感できるのは喜ばしいことですね。

そんなこんなで1年と少し練習を続け、現在では始める際に掲げた「他の人と演奏する」という目標を一応達成しました。KORGのシンセサイザーを購入してアマチュアのバンドに加入し、現時点で3回ほどスタジオで演奏しています。自分より経験豊富なメンバーばかりですが、キーボードが難しいバンドの楽曲では無いので、皆の邪魔にならない程度の演奏は出来ているかなと言う感じです。シンセサイザーならストリングスの音色も出せるのが良いですね。話すと長くなりそうなので、詳しくはまた別の機会があれば。


【今後の目標】

ピアノの演奏がもっと上手くなりたいです。明確な目標はありませんが、せっかく始めたので毎日コツコツやっていきます(自分の性格上、具体的な目標を定めて努力するよりダラダラ続けたほうが結果的に長続きするというのもあります)。練習時間をもっと伸ばすのが今後の課題。アマチュアバンドに加入していると、多少なりともモチベーションの維持に繋がりますね。

また、もともと「音楽に対する理解度を深めたい」という目標で始めたので、ピアノの練習と並行して音楽理論も少しずつ勉強しています。こちらはまだ本当に初歩の初歩の段階。新しい言語を学ぶ感覚で頑張っていきたいです。現在は宮前幸弘著『ピアノスタイル あきない!ハノン【改訂版】』という教則本を進めています。指の基礎トレーニングだけでなく、コードやスケールに対する感覚が自然と身につくらしいので。音楽の構造をもっと理解できるようになればいいな、なんて思いつつ日々練習しています。

……というか、現時点で自分はピアノではなくキーボード(シンセサイザー)を弾いているので、「ピアノの練習をしている」と言うのは違うんでしょうね。始めた時点では一応ピアノを弾いていたのでこういう記事のタイトルにしましたが、そもそも自分はピアノよりもキーボードの音色のほうが好きだし、クラシックやジャズを弾きたい欲求もありません。とりあえず、これからは「キーボードやってます」と言うようにします。

まだ演奏が楽しいという段階ではありませんが、成長を実感できたり、新しい知識が増えたり、色んな人と交流できるのは素直に喜ばしいこと。今後もマイペースにピアノ改めキーボードの練習を頑張っていきます(^^)/